コストから考える

コスト面から販売価格を決めていく場合の、おおよその流れをみていきましょう。ここで気をつけたいのは、買い値を決める要素は売り値だけではないということです。実際に仕入れた本が売れるまでにどれくらいの時聞がかかるのか。それによって、その品物にかかるコストが決まります。

例えば、家賃二十万円の店に一万冊の本が在庫としてあると仮定しましょう。その場合、一冊あたり用に二十円の家賃がかかっていることになります。つまり、置き場所代だけで年間二百四十円です。実際のコストでは、これに人件費や光熱費、税金などもプラスしなければなりません。このような仕入れ代とは別にかかる経費を、「販売費及び一般管理費」(販売管理費)と呼びます。

この販売管理費が占める割合が大きいのが、小売店の特色です。また、売れるまでの期聞は原価分のお金を寝かせておくことになるので、その分の金利も含めて考える必要があります。売上高に占める販売管理費の割合を「売上高販売管理費比率」といいますが、日本のスーパーマーケットなどでは、だいたい売り上げの三分の一程度が販売管理費に相当します。古本屋の場合は、店主の取り分を人件費とすれば、半分から三分の二程度ではないでしょうか。多くの居では、売り上げの二割から三割を家賃などの売り場を確保するためのコストとして支払っています。消耗品費や光熱費、宣伝費など諸経費も、売り上げの一割から二割程度は必要です。

したがって、仕入れ値が三割とすれば、二割から四割が利益+人件費ということになります。売り上げのうち、原価を引いた分を粗利益といいます。原価とは売れた分の仕入れ代です。粗利益は、販売管理費と営業利益に分けられます。上場企業の粗利益率は、投資家のための情報として公表されている決算書などでわかります。一般的な小売庄の場合、最近の決算書では、スーパーのイオンで三五・五%(二O一四年)、ユニクロ四九・三%(二O二二年)、ブックオフ五七・九%(二O一三年)となっています。ここから先は想像になりますが、古本屋の場合、粗利益率が六割から八割の店が多いのではないでしょうか。本は重量品で、体積のわりに価格が安いものです。取得より所有するほうにコストがかかります。輸送や保管をどうするかについて、あらかじめ考えておく必要があります。さらにいえば、売れるまでに時間がかかるということは、その分、売れ残る確率も高いことを意味します。経験的には、最初の一カ月で売れた半分しか翌月には売れませんし、翌々月にはさらにその半分というように、売れ行き率は下がっていくのが普通です。

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